STEP3論文を書く
この記事の情報は 2026-10-10 時点のものです。最新の情報は、特別区人事委員会の発表を確認してください。
結論から書きます。序論と結論は、問題文の言葉を使って「何について、どの立場で論じるか」を示す場所です。序論では問題文の要求をそのまま受け止めて主張を一言で示し、結論では序論の主張に戻ったうえで、職務経験論文なら採用区分(1級職・2級職など)の立場、課題式論文なら区の職員の立場を書いて締めます。特別区らしさは、区の公式資料から1つ具体的な取組を引くことで出せますが、資料の時点と出典を確かめることが前提です。
序論・本論・結論の全体の組み立てと字数配分は、職務経験論文の書き方 と 課題式論文の書き方 にまとめています。この記事は、その最初と最後の段落に絞った話です。
序論の役目は「問題文の要求を受け止める」こと
序論で最初にすべきことは、問題文が何を求めているかを、自分の言葉で言い直しすぎずに受け止めることです。問題文の形は、論文の種類で違います。
| 種類 | 令和6〜8年度の問題文の形 | 序論で受け止めること |
|---|---|---|
| 職務経験論文 | 「(テーマ)について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて採用区分※における立場で論じてください」 | テーマが今なぜ大切か、と自分の主張 |
| 課題式論文 | 2題から1題を選ぶ。題は「〜について」の形(例:令和8年度「地域課題の解決に向けた区民との協働について」) | 題の言葉そのものと、課題の絞り込み |
題の言葉を序論に入れる
序論のどこかに、題の言葉をそのまま入れます。たとえば題が「地域課題の解決に向けた区民との協働」なら、「協働」を「連携」「協力」と言い換えずに、題のとおり「区民との協働」と書きます。言い換えると、読み手には題からずれたように見えることがあります。
課題式論文の題を2つの要素に分けて読むことも大切です。上の題なら「地域課題の解決」と「区民との協働」の2つがあり、序論ではその両方に触れます。片方だけ(たとえば協働の一般論だけ)になると、題に正面から答えていない文章になりやすくなります。
主張は序論の最後に一文で
序論の最後の一文で、「〜が必要だと考える」「次の点に取り組むべきである」と主張を示します。主張がはっきりしていれば、結論でそこに戻るだけで論文の形が閉じます。課題を2〜3点に絞る方法は 課題式論文の書き方 で扱っています。
職務経験論文では、序論に自分の経験を長く書かないようにします。問題文は「職務経験を簡潔に述べてから」としており、経験は本論の最初の段落で書くのが自然です(当サイトの整理)。
区の公式資料を根拠に使うときの注意
特別区らしさを出すには、志望区や特別区全体の公式資料(基本構想・基本計画、予算の概要、各分野の計画など)から、取組を1つ引くのが近道です。ただし、使い方を誤ると逆効果になります。次は当サイトの考え方です。
| 注意すること | 理由と対策 |
|---|---|
| 資料の時点 | 区の計画は数年ごとに改定され、名前や期間が変わります。読んだ資料の年度を、メモに必ず残しておきます |
| 出典 | 区の公式サイトで公表されている資料だけを使います。まとめサイトや報道の要約だけで書かない |
| 数字 | 記憶があいまいな数字は書かず、「増えている」「多い」と言葉で書きます。不正確な数字は、ないほうが安全です |
| 区名の扱い | 1つの区の取組を、特別区全体の取組のように書かない。「例えば○○区では」と例として示します |
| 計画名 | 正式な名前で書きます。うろ覚えの略称は避けます |
論文の採点は人事委員会が行います。志望区の資料を使っても構いませんが、「○○区に配属されたら」と書くより、「例えば○○区では〜に取り組んでいる」と例の一つとして扱うほうが、特別区の職員としての視点が伝わります。
資料の読み方の手順は、本番の数か月前から始めておくと安心です。
- 志望区の公式サイトで、基本構想・基本計画の最新版を探す
- 計画の期間(何年度から何年度まで)と策定の時期をメモする
- 将来像や重点的な取組の名前を、正式名称のまま2〜3個メモする
- 試験の直前に、改定されていないかをもう一度確かめる
結論は「序論の主張」と「立場」に戻る
結論では、新しい話を持ち込まず、序論で示した主張に戻ります。そのうえで、どの立場で取り組むかを書いて締めます。ここが職務経験論文と課題式論文で違うところです。
| 種類 | 問題文の立場の指定 | 結論で書くこと |
|---|---|---|
| 職務経験論文 | あり(「採用区分※における立場で」) | 受ける級(1級職・2級職など)を明記し、その範囲で何をするか |
| 課題式論文 | なし | 区の職員として、どう取り組むか |
職務経験論文の「採用区分」には、問題文の注記で定義があります。1級職は「係員の業務を行う職」、2級職(主任)は「係長職への昇任を前提とした係長職を補佐する職」です。結論で「主任として係長を補佐し」のように、この定義に合った言葉を使うと、問題文の要求に答えていることが伝わります。1級職と2級職での言葉の選び方は 1級職と2級職の「立場」の書き分け で詳しく扱っています。
結論の目安は、次の3つの要素を150〜200字程度に収めることです(当サイトの目安)。
- 序論の主張をもう一度、短く言い直す
- 自分の立場(採用区分、または区の職員として)を書く
- 区民や区政にとって何がよくなるかで締める
序論と結論の例(課題式論文)
令和8年度の課題式論文の題「地域課題の解決に向けた区民との協働について」で、序論の書き出しと結論の締めを対応させた短い例です。当サイトが作ったもので、模範解答ではありません。
(序論の書き出し)特別区では、防災や子育て、高齢者の見守りなど、行政だけでは解決が難しい地域課題が増えている。こうした課題の解決には、区民との協働が欠かせない。(中略)区民が参加しやすい仕組みを整えることが必要だと考える。
(結論の締め)地域課題の解決は、行政だけでは実現できない。私は区の職員として、区民が参加しやすい仕組みづくりに取り組み、区民との協働による地域課題の解決に貢献していく。
序論で示した「区民が参加しやすい仕組み」という主張に結論が戻り、題の言葉「地域課題の解決」「区民との協働」が序論と結論の両方に入っていることを確かめてください。
形式面の基本ルール(題名・字数・段落など)は 題名・字数・原稿用紙の基本ルール に、時間配分は 90分の時間配分と下書きの作り方 にまとめています。

