STEP3論文を書く
この記事の情報は 2026-10-10 時点のものです。最新の情報は、特別区人事委員会の発表を確認してください。
結論から書きます。特別区(東京23区)の経験者採用の職務経験論文は、問題文に「経験」「経験を踏まえる」「立場」の3つの指示が入っています。この3つを、序論・経験・取組・結論の4段に割り当てると、どのテーマでも同じ形で組み立てられます。
令和9年度(2027年度)から、事務(一般事務・ICT)の1次選考は教養試験がSPI3に変わりますが、論文試験は従来どおり人事委員会が指定する日時・会場で実施されます(報道発表資料 2026年9月9日)。論文の書き方は、これまでの公表問題から準備できます。
職務経験論文の形式(公式資料で確認できること)
令和6〜8年度の問題と、令和8年度の試験案内で確認できる形式は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 解答時間 | 1時間30分 |
| 字数 | 1,200字以上1,500字程度 |
| 題の数 | 1題(選択なし) |
| 対象 | 事務(一般事務)など(技術系の職種には別の問題が出されています) |
| 問題の持ち帰り | 持ち帰り可。1次終了後に人事委員会のホームページで公表 |
事務(一般事務)では、職務経験論文と課題式論文の2本を書きます。課題式論文の書き方は 課題式論文の書き方 で扱っています。
令和8年度までは、教養試験の成績が一定点に達しない場合は論文が採点されず、1次の合格者は論文の総合成績で決まる仕組みでした(令和8年度 試験案内)。令和9年度にSPI3と論文をどう組み合わせて合否を決めるかは、令和9年度の試験案内で示される予定です。
問題文は毎年ほぼ同じ形
令和6〜8年度の事務(一般事務)などの職務経験論文は、テーマだけが変わり、問題文の形は同じでした。
| 年度 | テーマ |
|---|---|
| 令和8年度(2026) | 業務改善と生産性向上について |
| 令和7年度(2025) | 住民サービスの向上について |
| 令和6年度(2024) | 行政におけるコンプライアンスの重要性について |
令和8年度の問題文は次のとおりです。
業務改善と生産性向上について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて採用区分※における立場で論じてください。
「※採用区分」には注記があり、1級職は「係員の業務を行う職」、2級職(主任)は「係長職への昇任を前提とした係長職を補佐する職」とされています。
この一文から、書くべきことを3つに分けられます(当サイトの整理です)。
| 要素 | 問題文の部分 | 書くこと |
|---|---|---|
| ① 経験 | 職務経験を簡潔に述べ | テーマに関係する自分の経験を、短く具体的に |
| ② 接続 | その経験を踏まえて | 経験から得たことを、区の仕事に置き換える |
| ③ 立場 | 採用区分における立場で | 1級職・2級職として、役割の範囲で何をするか |
いちばん多い失敗は、①の経験談が長くなり、③の「区の職員として何をするか」が薄くなることです。問題文に「簡潔に」とある以上、経験は全体の2割程度に収めるのが目安です。
4段構成と字数配分の目安
次の配分は、1,200字以上1,500字程度を4段に分けたときの、当サイトの目安です。公式の配分ではありません。
| 段落 | 書くこと | 字数の目安 |
|---|---|---|
| 序論 | テーマが大切な理由と、特別区を取り巻く状況 | 200〜250字 |
| 本論1(経験) | 状況 → 課題 → 自分の行動 → 結果 | 250〜300字 |
| 本論2(取組) | 経験を活かして、区の職員として取り組むこと(2〜3本) | 550〜700字 |
| 結論 | 採用区分の立場を明示した決意 | 150〜200字 |
いちばん字数を使うのは本論2です。本論1の経験は、本論2の根拠という位置づけです。
序論:区の状況から入る
いきなり自分の話から始めず、「特別区では〜が進み、〜が求められている」と区の状況から書き出すと、論文の方向がはっきりします。志望区の基本計画などで見た取組を1つ入れられると、具体性が出ます。
本論1:主語は「私」、結果はできれば数字で
「私は前職で〜を担当していた」から始め、何が問題で、自分が何をして、どう変わったかを短くまとめます。チームの話になりやすいので、主語は「私」にそろえます。
本論2:取組は2〜3本、それぞれ3点セットで
取組が1本だけだと字数が足りず、4本以上だと1本あたりが薄くなります。それぞれを「何を・どうやって・何がよくなるか」の3点で書くと、形がそろいます。「第一に、〜。第二に、〜。」と書き出すと、段落の区切りが読み手に伝わります。
民間の発想をそのまま持ち込まないことも大切です。行政の手続には法令や規則にもとづく理由があるため、「変えてよい部分と守るべき部分を確かめる」という視点を一文入れると、行政の職員としての考え方が伝わります。
結論:立場をはっきり書く
「1級職として〜し、〜に貢献する」のように、問題文が求める立場を明記して締めます。1級職と2級職で取組の書き方をどう変えるかは、1級職と2級職の「立場」の書き分け で詳しく扱っています。
1級職と2級職での違い(例を1つ)
同じテーマでも、立場によって本論2の範囲が変わります。テーマ「業務改善と生産性向上」での例です。
| 区分 | 取組の書き方の例 |
|---|---|
| 1級職 | 担当業務の手順を書き出し、重複している確認作業の見直しを係長に提案する |
| 2級職(主任) | 係内の業務を洗い出す場を設け、係長と改善案を整理し、後輩が実践できるよう手順書にまとめる |
1級職は自分の業務とすぐ隣の同僚まで、2級職は係全体・後輩の育成・ほかの係との調整まで、という範囲の違いです。
1時間30分の時間配分の目安
時間配分も当サイトの目安です。字数を書き切る時間を先に確保し、見直しの時間を残すことを優先します。
| 段階 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| ① 題の確認 | 3分 | 「経験・接続・立場」の3つの指示を確かめる |
| ② 設計 | 12分 | 問題用紙の余白に骨子を書く(序論の主張、取組2〜3本、結論の一言、使う経験) |
| ③ 執筆 | 60分 | 骨子に沿って書く。1段落10〜15分が目安 |
| ④ 見直し | 15分 | 字数、題名、誤字、立場を超えた内容がないか |
よくある時間の失敗は3つです。
- 設計を飛ばして書き始め、途中で方向が変わって書き直す
- 序論に時間をかけすぎて、取組が1本で終わる
- 見直しの時間がなくなる。60分たったら、書きかけでも結論に入る判断をする
令和8年度までの事務(一般事務)は、教養試験と論文2本を同じ日に受ける日程でした(令和8年度は午前9時30分集合、午後4時45分終了予定)。令和9年度の論文の実施日時や順番は、令和9年度の試験案内で示される予定です。
書き終えたら確認すること
- 経験の部分が全体の2割程度に収まっているか
- 経験に「私が何をしたか」と「結果」があるか
- 取組が2〜3本あり、それぞれ「何を・どうやって・何がよくなるか」が書けているか
- 結論で、1級職・2級職などの立場をはっきり書いているか
- 字数が1,200字を下回っていないか
- 文体が「〜である」でそろっているか(「です・ます」との混在がないか)
解答例や採点基準は公表されている?
特別区人事委員会が公表しているのは論文の問題文で、解答例や採点基準は公表されていません。インターネット上の「解答例」「模範解答」は、予備校や個人が独自に作ったものです。
解答例を読むときは、文章を覚えるのではなく、上の4段構成のどこに何が書かれているか、字数がどう配分されているかを確かめる使い方がおすすめです。過去の出題の入手方法は 過去問の入手方法 にまとめています。
練習の進め方
- 自分の経験ネタを3〜4本決め、それぞれ「状況・課題・行動・結果」を書き出す
- 公表されている3年分のテーマで、骨子だけを10分で作る練習をする
- 時間を測って1本通しで書き、上の確認項目で見直す
- 書き直した版を、できれば行政の仕事を知らない人にも読んでもらう
働きながらの練習の段取りは 勉強スケジュール で、残り期間別に整理しています。

