STEP1制度を知る
この記事の情報は 2026-10-10 時点のものです。最新の情報は、特別区人事委員会の発表を確認してください。
特別区経験者採用は、民間企業などで働いた経験のある人を、東京23区の職員として採用するための試験です。実施するのは特別区人事委員会です。
結論を先にまとめます。
- 事務(一般事務)は、業務の内容を問わず、一定の年数働いた経験があれば受けられます
- 1級職(係員)・2級職(主任)・3級職(係長級)の3つの「級」があり、級ごとに必要な経験年数が違います
- 令和8年度(2026年度)までは「教養試験+論文」→「面接」の流れでした
- 令和9年度(2027年度)から、事務の教養試験はSPI3に変わり、2次選考は各区が個別に行います。論文は従来どおりです
特別区経験者採用とは
令和8年度の試験案内では、この試験の目的を「民間企業等での有用な職務経験を有する方を、即戦力として特別区政にいかす」ことと説明しています。
採用するのは、23区のほか、特別区人事・厚生事務組合、特別区競馬組合、東京二十三区清掃一部事務組合です。合格すると、このどこかで働くことになります。
大学卒業程度の「Ⅰ類採用試験」とは別の試験です。令和8年度は、その年のⅠ類に申し込んだ人は、経験者採用に申し込めませんでした(併願できない)。両者の違いは 経験者採用とⅠ類の違い で詳しく整理しています。
1級・2級・3級の違い
経験者採用では、入庁したときの立場(級)を選んで受けます。試験案内での定義は次のとおりです。
| 級 | 入庁後の立場 | 必要な業務従事歴(令和8年度) |
|---|---|---|
| 1級職 | 係員の業務を行う職 | 直近10年(平成29年4月1日〜令和9年3月31日)のうち4年 |
| 2級職(主任) | 係長職への昇任を前提とした、係長職を補佐する職 | 直近14年(平成25年4月1日〜令和9年3月31日)のうち8年 |
| 3級職(係長級) | 係長、担当係長、主査またはこれに相当する職 | 直近18年(平成21年4月1日〜令和9年3月31日)のうち12年 |
令和8年度の秋試験では、3級職は児童福祉・児童指導・児童心理の区分だけで行われました。事務(一般事務・ICT)で選べるのは1級職と2級職です。
どちらの級を選ぶかで、論文で求められる立場や倍率が変わります。考え方は 1級と2級の選び方 にまとめています。
受験資格(令和8年度 秋試験)
令和8年度の試験案内では、次の条件をすべて満たす人が受験できました。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 年齢 | 昭和40年4月2日以降に生まれた人 |
| 国籍 | 日本国籍を有する人(福祉・児童福祉・児童指導・児童心理は、一定の在留資格などがあれば日本国籍がなくても可) |
| 現在の身分 | 現に特別区等の職員でない人(会計年度任用職員などは受験できる) |
| 業務従事歴 | 上の表の年数以上 |
「業務従事歴」の数え方には、次の決まりがあります。
- 事務(一般事務)は、業務の内容を問わない。ほかの区分は、その区分に関連した業務が対象
- 1つの事業所で、週20時間以上働いた期間が対象
- 満22歳になった日の属する年度の、翌年度の4月1日以降の期間が対象
- 複数の会社で働いた場合、1つの会社で1年以上なら年数を合計できる(同じ時期が重なる部分は1社分だけ)
雇用形態は正社員に限られていません。試験案内の「よくある質問」では、契約社員や派遣社員の期間も、週20時間以上の勤務であれば対象になると説明しています。数え方の計算例も載っています。
試験区分と採用予定数(令和8年度)
令和8年度の秋試験の区分と採用予定数です(試験案内より。「名程度」の表記は省略しています)。
| 試験・選考区分 | 1級職 | 2級職(主任) | 3級職(係長級) |
|---|---|---|---|
| 事務(一般事務) | 244 | 145 | ― |
| 事務(ICT) | 12 | 17 | ― |
| 土木造園(土木) | 50 | 26 | ― |
| 建築 | 48 | 42 | ― |
| 機械 | 28 | ― | ― |
| 電気 | 32 | ― | ― |
| 福祉 | 28 | 15 | ― |
| 児童福祉 | 15 | 13 | 6 |
| 児童指導 | 23 | 17 | 若干名 |
| 児童心理 | 16 | 13 | 6 |
このほか、令和7年度からは春にも経験者採用(福祉のみ)が行われています。
申込者数や倍率の推移は 特別区経験者採用の倍率 で年度別に表にしています。
試験の流れと日程(令和8年度の実績)
令和8年度の秋試験は、次の日程で行われました。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 6月25日〜7月16日 | 申込(インターネット)。2次で使う「職務経歴書」もこのとき入力 |
| 9月6日 | 1次試験(教養試験・論文) |
| 10月23日 | 1次合格発表 |
| 10月31日・11月1日・3日・7日・8日のうち指定の1日 | 2次試験(口述試験=個別面接) |
| 11月20日 | 最終合格発表 |
最終合格のあとは、合格者が「採用候補者名簿」に点数の高い順に載り、人事委員会が本人の希望区などを考えて各区に紹介します。紹介を受けた区が面接を行い、内定を出す流れでした。採用は原則として令和9年4月1日以降です。
試験の中身(令和8年度まで)
令和8年度までの事務(一般事務)の1次試験は、次の3つでした。
| 科目 | 時間 | 内容 |
|---|---|---|
| 教養試験 | 1時間45分 | 五肢択一式。1級職は45題中35題、2級職は44題中35題を解答 |
| 職務経験論文 | 1時間30分 | 1題に解答。1,200字以上1,500字程度 |
| 課題式論文 | 1時間30分 | 2題から1題を選ぶ。1,200字以上1,500字程度 |
事務(ICT)は、教養試験(1時間・20題)とICT論文(1時間30分)でした。
1次の合否には、次の決まりがありました。
- 教養試験の成績が一定点に達しないと、論文は採点されない
- 1次の合格者は、論文の総合成績で決まる
つまり、令和8年度までも、教養試験は「足切り」で、合否を分けるのは論文でした。論文の書き方は、職務経験論文の書き方 と 課題式論文の書き方 で解説しています。過去に出たテーマは 過去問の見方 にまとめています。
2次試験は、人物・職務経験・職務に関連する知識などについての個別面接でした。
令和9年度(2027年度)から変わること
特別区人事委員会は、2026年9月9日の報道資料で、令和9年度からの変更を発表しました。
| 項目 | 令和8年度まで | 令和9年度から |
|---|---|---|
| 名称 | 経験者採用試験・選考 | 経験者採用選考 |
| 事務(一般事務・ICT)の1次 | 教養試験+論文 | SPI3(テストセンター方式)+論文 |
| 論文の種類と実施方法 | 課題式論文・職務経験論文・ICT論文。人事委員会が指定する日時・会場 | 変更なし |
| 2次 | 人事委員会が実施 | 各区・組合が1次合格者に個別に実施 |
SPI3は、民間企業の採用でも使われている適性検査です。「テストセンター方式」は、決められた受験期間の中で、自分で日時と会場を選んで受ける方式です。報道資料では、仕事をしている人も受けやすくなると説明しています。SPI3の対策は SPI3の対策 で扱っています。
1次に合格した人は、本人の希望区などを考えて、人事委員会から区や組合に引き継がれます。ただし、採用予定や希望の集中などの状況によっては、希望どおりにならない場合があるとされています。2次選考については 区ごとの2次選考 で詳しく書いています。
なお、教養試験がSPI3に変わるのは、秋試験の事務(一般事務・ICT)です。Ⅰ類・Ⅲ類採用試験は、従来どおり人事委員会が2次試験を行います。
まだ発表されていないこと(2026年10月時点)
報道資料には「上記以外の詳細は、令和9年度に公開予定の採用試験案内」で確認するよう書かれています。現時点で公表されていないのは、たとえば次の点です。
- 令和9年度の申込期間、SPI3の受験期間、論文試験の日
- 令和9年度の受験資格(業務従事歴の期間は年度ごとにずれます)
- 令和9年度の採用予定数
- 各区・組合の2次選考の中身(面接の回数、ほかの選考方法があるかどうか)
- SPI3の結果と論文の結果を、1次の合否にどう使うか
これらは推測で判断せず、令和9年度の試験案内が出たら必ず確かめてください。令和8年度の試験案内は6月25日に公開されています。
何から準備するか
令和9年度の試験に向けて、いま確実に言えるのは「論文は従来どおり」ということです。過去のテーマや書き方の型は、そのまま使えます。
- 過去の論文テーマを見る(過去問の見方)
- 自分の職務経験から、論文と面接で使える話を洗い出す(職務経験論文の書き方)
- SPI3の問題集を1冊決める(SPI3の対策)
- 志望する区の計画や取組を調べる(区ごとの2次選考)
独学か講座かで迷っている場合は 独学と講座の比べ方 も参考にしてください。
