STEP1制度を知る
この記事の情報は 2026-10-10 時点のものです。最新の情報は、特別区人事委員会の発表を確認してください。
特別区(東京23区)の経験者採用には、IT・デジタル分野の経験者向けの「事務(ICT)」区分があります。令和5年度(2023年度)に始まった区分です。
結論を先にまとめます。
- 受験するには、システム構築の企画・設計・運用や、DX・ICT活用の企画、コンサルティングなどの業務経験 が必要です。一般事務と違い、業務の内容が問われます
- 令和8年度の1次試験は、教養試験(1時間・20題)とICT論文(1時間30分・1題) でした
- 情報処理技術者試験(ITパスポートを除く)の合格者は、申込時に申請すると一定点が加点されました(令和8年度)
- ICT論文のテーマは、令和6年度「職員のICTリテラシー向上」、令和7年度「情報セキュリティの確保」、令和8年度「デジタルデバイドの解消」でした
- 令和9年度から、事務(ICT)の教養試験はSPI3(テストセンター方式)に変わります。ICT論文は従来どおりです
事務(ICT)の仕事
試験案内では、主な仕事と勤務先を次のように説明しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な仕事 | ICT利活用の推進・企画、デジタル広報、ベンダー(システム会社)や関係する課との調整、ネットワーク・情報基盤システムの導入・管理・運営、サイバーセキュリティ対策、ICTのプロジェクトマネジメントなど |
| 主な勤務先(例) | 情報システム課、DX・ICT推進課、システムを持っている各課 |
例示には、企画、ベンダーや各課との調整、システムの管理・運営、セキュリティ対策、プロジェクトマネジメントといった仕事が並んでいます。
受験資格(令和8年度)
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 年齢 | 昭和40年4月2日以降に生まれた人 |
| 国籍 | 日本国籍を有する人 |
| 業務従事歴 | ICTに関連する業務の経験が、1級職は直近10年のうち4年、2級職(主任)は直近14年のうち8年 |
令和8年度の秋試験では、事務(ICT)の3級職(係長級)は行われませんでした(令和6・7年度は行われています)。
週20時間以上の勤務であること、1年以上の勤務なら複数の会社を通算できることなど、年数の数え方は一般事務と同じです。くわしくは 特別区経験者採用とは を見てください。
対象になる業務・ならない業務
試験案内では、必要な業務従事歴を「システム構築等の企画・要件定義・設計・開発・運用(プロジェクトの進捗管理を含む)、DX・ICT活用の企画・立案、コンサルティング等に関連した業務」としています。Q&Aには、より具体的な例が載っています。
| 対象になる業務(Q&Aの例) | 対象にならない業務(Q&Aの例) |
|---|---|
| 企業などのシステム構築の企画・要件定義・設計 | ICT部門の事務 |
| ICT戦略、事業部門などへのDX・ICT活用の企画・コンサルティング(プロジェクトの進捗管理を含む) | システムの販売・営業(システム構築にも携わり、ICTの知識がある場合は除く) |
| ネットワーク・サーバなどの構築・運用 | 単なるプログラマーやシステムテスター |
| サイバーセキュリティ対策 | Webデザイン(ホームページ作成)、イラスト・ロゴの制作 |
| データベースの構築・管理・運用 | WordやExcelを使った事務、コールセンター・ヘルプデスクなど |
判断の基準は 会社の業種ではなく、本人がしていた業務 です。Q&Aには「IT企業で経理を3年、その後システム設計を1年」という人は受験できない、という例が載っています。ICTに関連する業務だけを数えるため、経理の3年は足せません。
ICTに関連する業務経験がない人は、事務(ICT)は受けられません。その場合は、業務の内容を問わない事務(一般事務)が候補になります。
試験の中身(令和8年度)
| 段階 | 科目 | 内容 |
|---|---|---|
| 1次 | 教養試験(1時間) | 五肢択一式・20題すべて解答。知能分野14題(文章理解〈英文を含む〉、判断推理、数的処理、資料解釈、空間把握)と、知識分野6題(社会事情) |
| 1次 | ICT論文(1時間30分) | 1題。1,200字以上1,500字程度 |
| 2次 | 口述試験 | 人物、職務経験、職務に関連する知識などについての個別面接 |
一般事務(教養は1時間45分で、1級職は45題中35題を解答。論文は職務経験論文と課題式論文の2本)に比べて、事務(ICT)は教養も論文も少なめです。令和8年度の1次試験の日は、事務(ICT)は午後0時15分集合、午後4時終了予定でした。
1次の合否には、次の決まりがありました。
- 教養試験の成績が一定点に達しないと、論文は採点されない
- 1次の合格者は、論文の総合成績で決まる
情報処理技術者試験の加点(令和8年度)
| 項目 | 試験案内・Q&Aの記載 |
|---|---|
| 対象 | IPA(情報処理推進機構)の情報処理技術者試験の合格者。基本情報技術者、応用情報技術者、情報セキュリティマネジメント、各スペシャリスト試験、情報処理安全確保支援士など |
| 対象外 | ITパスポート試験(旧制度の初級システムアドミニストレータ試験も対象外) |
| 加点の大きさ | 「点数が合格ライン上の場合に、有利となる程度」。具体的な点数は公表されていない |
| 申請 | 申込のときに、合格証書の画像を付けて申請。申込後の申請や、取得見込みでの申請はできない。加点の対象は1種類だけ |
| 注意 | 情報処理安全確保支援士は登録証が必要(合格証明書では対象外) |
加点は受験資格ではありません。資格がなくても、業務経験の条件を満たしていれば受験できます。
ICT論文の過去テーマ
公式の公表問題で確認したテーマです。
| 年度 | テーマ |
|---|---|
| 令和8年度(2026) | デジタルデバイドの解消 |
| 令和7年度(2025) | 情報セキュリティの確保 |
| 令和6年度(2024) | 職員のICTリテラシー向上 |
問題文はどの年も同じ形で、「(テーマ)について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験と専門知識を踏まえて採用区分における立場で論じてください」です。採用区分の定義(1級職は係員、2級職は係長職を補佐する職など)も問題文に付いています。
3年分を並べると、「職員の力(リテラシー)」「守り(セキュリティ)」「住民側の格差(デジタルデバイド)」と、毎年違う角度から出ています。どのテーマでも、次の2つを1本の論文の中で書く必要があります。
- 自分のこれまでの仕事(どんなシステム・プロジェクトで、何をしたか)
- その経験と専門知識を、区の職員としてどう使うか(1級職なら係員、2級職なら係長を補佐する立場で)
「経験 → それを踏まえた考え」という形は、一般事務の職務経験論文と同じです。書き方の基本は 職務経験論文の書き方、立場の違いは 立場の書き分け を参考にしてください。公表問題の探し方は 過去問の見方 にまとめています。
採用予定数と申込者数
令和8年度(秋試験)
| 級 | 採用予定数 | 申込者数 | 1次受験者数 |
|---|---|---|---|
| 1級職 | 12名程度 | 37 | 30 |
| 2級職(主任) | 17名程度 | 28 | 21 |
令和8年度の1次合格者数と最終合格者数は、基準日の時点ではまだ発表されていません(1次合格発表は10月23日、最終合格発表は11月20日)。
令和6・7年度(秋試験)
| 年度・級 | 採用予定数 | 受験者数 | 最終合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和7年度 1級職 | 22 | 25 | 13 | 1.9倍 |
| 令和7年度 2級職 | 17 | 39 | 18 | 2.2倍 |
| 令和7年度 3級職 | 3 | 11 | 3 | 3.7倍 |
| 令和6年度 1級職 | 18 | 32 | 17 | 1.9倍 |
| 令和6年度 2級職 | 14 | 30 | 15 | 2.0倍 |
| 令和6年度 3級職 | 3 | 12 | 3 | 4.0倍 |
(令和8年度の試験案内に載っている実施状況より。倍率は受験者数÷最終合格者数)
一般事務(令和7年度は1級職3.5倍、2級職4.9倍)と比べると、受験者の数そのものが少ない区分です。ほかの区分も含めた推移は 特別区経験者採用の倍率 で表にしています。
令和9年度(2027年度)から変わること
2026年9月9日の報道資料で、令和9年度からの変更が発表されました。事務(ICT)は、教養試験がなくなる対象に 名前が挙がっています。
| 項目 | 令和8年度まで | 令和9年度から |
|---|---|---|
| 1次(教養の部分) | 教養試験 | SPI3(テストセンター方式) |
| 1次(論文) | ICT論文 | ICT論文(従来どおり、人事委員会が指定する日時・会場で実施) |
| 2次 | 人事委員会が実施 | 各区・組合が1次合格者に個別に実施 |
| 名称 | 経験者採用試験・選考 | 経験者採用選考 |
「テストセンター方式」は、決められた受験期間の中で、自分で日時と会場を選んで受ける方式です。SPI3の準備は SPI3の対策 にまとめています。
次の点は、報道資料には書かれていません。令和9年度の試験案内で確かめてください。
- SPI3の結果とICT論文の結果を、1次の合否にどう使うか
- 情報処理技術者試験の加点を続けるかどうか
- 令和9年度の採用予定数と、3級職を行うかどうか
- 各区・組合の2次選考の中身
2次選考については 区ごとの2次選考 で詳しく書いています。
準備の進め方
- 自分の業務経験が「対象になる業務」に当たるか、期間を月単位で書き出して確かめる
- 情報処理技術者試験の合格証書(支援士は登録証)を手元にそろえる
- ICT論文の過去テーマ3本で、「経験 → 区の職員としての考え」の形で書いてみる
- SPI3の問題集を1冊決める
- 志望する区のDX推進計画や情報化の取組を調べる

