STEP1制度を知る
この記事の情報は 2026-10-10 時点のものです。最新の情報は、特別区人事委員会の発表を確認してください。
特別区(東京23区)の経験者採用には、福祉の仕事をしてきた人向けの区分があります。令和8年度(2026年度)は、春と秋の2回、試験が行われました。
結論を先にまとめます。
- 春試験は「福祉」区分だけ。令和8年度は1級職16名程度・2級職8名程度でした
- 秋試験は「福祉」「児童福祉」「児童指導」「児童心理」 の4区分です
- 福祉区分は、社会福祉士・児童指導員の資格、または登録した保育士 であることが前提で、資格を取ったあとの 社会福祉施設等での相談援助業務 の年数が必要です
- 1次試験は、福祉区分なら 福祉論文だけ(教養試験はありません)。児童福祉・児童指導・児童心理は職務経験論文です
- 令和9年度の発表で、教養試験がSPI3に変わるのは事務(一般事務・ICT)です。2次を各区・組合が行う変更は「経験者・障害者採用選考」が対象で、区分を限る記載はありません
春試験と秋試験の違い(令和8年度)
| 項目 | 春試験 | 秋試験 |
|---|---|---|
| 区分 | 福祉のみ | 福祉・児童福祉・児童指導・児童心理(ほかに事務・技術の区分) |
| 申込 | 3月6日〜3月23日 | 6月25日〜7月16日 |
| 1次試験 | 4月19日 | 9月6日 |
| 1次合格発表 | 6月12日 | 10月23日 |
| 2次試験 | 6月28日 | 10月31日〜11月8日のうち指定の1日 |
| 最終合格発表 | 7月15日 | 11月20日 |
| 採用 | 令和8年11月1日(採用予定日) | 原則として令和9年4月1日以降 |
春試験は、令和7年度から始まりました。人事委員会の給与報告では、福祉職の求職者が増える春に、年度の途中での採用を目指して追加で行ったと説明されています。春に最終合格した人は、同じ年度の秋試験を受けられません(試験案内の注意事項)。
日程の全体は 試験日程 にまとめています。
区分ごとの採用予定数(令和8年度)
| 区分 | 1級職 | 2級職(主任) | 3級職(係長級) |
|---|---|---|---|
| 福祉【春】 | 16名程度 | 8名程度 | ― |
| 福祉【秋】 | 28名程度 | 15名程度 | ― |
| 児童福祉【秋】 | 15名程度 | 13名程度 | 6名程度 |
| 児童指導【秋】 | 23名程度 | 17名程度 | 若干名 |
| 児童心理【秋】 | 16名程度 | 13名程度 | 6名程度 |
3級職(係長級)があるのは、児童福祉・児童指導・児童心理だけです。どの区・組合が採用を予定しているかは、試験案内の「採用予定及び必要な業務従事歴等」の表で確認できます。
福祉区分の受験資格
資格
次のどれかに当てはまる人が対象です(春・秋とも)。
- 社会福祉士の資格がある
- 児童指導員の資格がある
- 保育士となる資格があり、都道府県知事の登録を受けている
「地域限定保育士」は含みません。ただし、地域限定保育士の資格を取ったあとの期間は、業務従事歴の対象になる場合があるとされ、人事委員会に問い合わせるよう書かれています。
国籍は問いません。日本国籍がない人は、永住者などの在留資格がある人と特別永住者が対象です。年齢は、令和8年度は昭和40年4月2日以降に生まれた人でした。
業務従事歴
福祉区分で数えるのは、上の資格を取った(登録した)あとに、社会福祉施設等で相談援助業務をした期間 です。
| 用語 | 試験案内・Q&Aでの説明 |
|---|---|
| 社会福祉施設等 | 児童福祉施設、高齢者福祉施設、障害者福祉施設、精神保健福祉施設、医療機関、児童相談所、一時保護所など |
| 相談援助業務 | ケアマネージャー、ソーシャルワーカー、生活相談員、支援相談員、児童福祉司などの、児童・高齢者・障害者などへの相談対応・指導の業務 |
Q&Aでは、役所の高齢者関係課や障害者関係課での相談援助業務、ケースワーカー業務も含むとされています。
必要な年数は、事務と同じです(令和8年度)。
| 級 | 必要な業務従事歴 |
|---|---|
| 1級職 | 直近10年のうち4年 |
| 2級職(主任) | 直近14年のうち8年 |
週20時間以上、1年以上の勤務なら複数の職場を通算できる、といった数え方の決まりも事務と同じです。くわしくは 特別区経験者採用とは を見てください。
対象にならない経験の例
Q&Aと試験案内には、次のような例が載っています。
- 保育所で保育士として働いた期間は、福祉区分では数えない(保育は「直接処遇業務」で、相談援助業務ではないため)
- 資格を取る前の相談援助業務は数えない(例:相談援助を4年しても、社会福祉士を取ったのが1年前なら、数えられるのは1年)
- 高齢者関係課での庶務の仕事のように、相談援助でない業務は数えない
保育所で保育士として働きたい人は、各区が行う採用選考を受けるよう案内されています。
児童福祉・児童指導・児童心理の受験資格(秋試験)
この3区分は「児童相談所等での経験を求める採用試験・選考」で、児童相談所の開設・運営のための体制強化を目的にしています。全体の業務従事歴(1級4年・2級8年・3級12年)に加えて、そのうちの一定年数が児童相談所等での経験 であることが必要です。
| 区分 | 必要な資格・学歴 | 児童相談所等での経験として数える業務 | 児童相談所等での経験年数 |
|---|---|---|---|
| 児童福祉 | 社会福祉士・児童指導員・登録した保育士 | 児童相談所(一時保護所を含む)または児童福祉施設での相談援助業務 | 1級2年/2級3年/3級5年 |
| 児童指導 | 社会福祉士・児童指導員・登録した保育士 | 児童相談所(一時保護所を含む)、児童養護施設、児童自立支援施設での直接処遇業務 | 1級2年/2級3年/3級5年 |
| 児童心理 | 大学(短大を除く)の心理学科を卒業した人、またはこれに相当する人 | 児童相談所(一時保護所を含む)等の福祉・医療・司法・教育の機関や施設での心理判定・心理療法・カウンセリング | 1級2年/2級3年/3級5年 |
ポイントは次のとおりです。
- 児童指導は「相談援助業務または直接処遇業務」が対象で、保育所で保育士として働いた期間も含みます(福祉区分とは扱いが違います)
- 児童心理の全体の業務従事歴は「心理に関連する業務」(児童心理司、臨床心理士、スクールカウンセラーなどの、心理に関する相談対応・指導)です
- 福祉・児童福祉・児童指導・児童心理は、どれか1つにしか申し込めません(重複申込は、受信が早いものだけ受理)
試験案内のQ&Aでは、福祉と児童福祉・児童指導は、どれも「福祉職」として採用され、異動によってはお互いの仕事をする可能性もあると説明しています。
試験案内では、福祉区分の主な仕事を、児童・高齢者・障害者などへの相談援助、事業の企画・立案・実施、生活保護のケースワーカーなどとしています。主な勤務先は、福祉事務所、高齢福祉課、子ども家庭支援センター、児童相談所などです。児童相談所などの配属先によっては、交替制勤務や夜間勤務の可能性があるとも書かれています。
試験の中身(令和8年度)
| 区分 | 1次試験 | 2次試験 |
|---|---|---|
| 福祉(春・秋) | 福祉論文(1時間30分、1題、1,200字以上1,500字程度) | 口述試験(個別面接) |
| 児童福祉・児童指導・児童心理(秋) | 職務経験論文(1時間30分、1題、1,200字以上1,500字程度) | 口述試験(個別面接) |
- 福祉の1次は論文だけで、教養試験はありません。春試験の試験案内には「第1次試験・選考の合格者は、福祉論文の成績により決定します」と書かれています
- 2次は、人物・職務経験・職務に関連する知識などについての個別面接でした(令和8年度まで。人事委員会が実施)
- 申込のときに、2次で参考資料として使う「職務経歴書」を入力します
福祉論文の過去テーマ(公式の公表問題より)
| 年度 | 秋試験 | 春試験 |
|---|---|---|
| 令和8年度 | 福祉サービスを利用しやすい仕組みの充実 | 福祉サービスの利用者との信頼関係の構築 |
| 令和7年度 | 福祉職場での他職種職員との連携 | 認知症高齢者や障害者等の意思決定が困難な人への支援 |
| 令和6年度 | 福祉サービスの質の向上 | (春試験なし) |
問題文はどの回も同じ形で、「(テーマ)について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験と専門知識を踏まえて採用区分における立場で論じてください」です。採用区分は、1級職が係員、2級職(主任)が係長職を補佐する職と定義されています。
つまり、事務の職務経験論文と同じく「経験 → それを踏まえた考え」の順で書く形です。書き方の基本は 職務経験論文の書き方、1級と2級での立場の違いは 立場の書き分け が参考になります。公表問題の探し方は 過去問の見方 にまとめています。
申込者数と倍率
春試験(福祉)
| 年度・級 | 採用予定数 | 申込者数 | 1次受験者数 | 最終合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 令和8年度 1級職 | 16 | 62 | 53 | 26 | 2.0倍 |
| 令和8年度 2級職 | 8 | 27 | 23 | 7 | 3.3倍 |
| 令和7年度 1級職 | ― | 49 | 46 | 25 | 1.8倍 |
| 令和7年度 2級職 | ― | 32 | 27 | 11 | 2.5倍 |
倍率は「1次受験者数÷最終合格者数」です。令和7年度の採用予定数は、令和8年度の報道資料では1級職14名程度・2級職12名程度と比較されています。
秋試験(福祉)
| 年度・級 | 採用予定数 | 1次受験者数 | 最終合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和7年度 1級職 | 33 | 84 | 52 | 1.6倍 |
| 令和7年度 2級職 | 22 | 46 | 21 | 2.2倍 |
| 令和6年度 1級職 | 39 | 93 | 62 | 1.5倍 |
| 令和6年度 2級職 | 25 | 54 | 35 | 1.5倍 |
令和8年度の秋試験(福祉)は、申込者数が1級職76人・2級職35人、1次受験者数が1級職62人・2級職32人でした。最終合格者数は、基準日の時点ではまだ発表されていません(最終合格発表は11月20日)。
ほかの区分の倍率は 特別区経験者採用の倍率 で年度別に表にしています。
令和9年度(2027年度)に変わること
特別区人事委員会は、2026年9月9日の報道資料で、令和9年度からの変更を発表しました。福祉職に関係する部分は、次のとおりです。
| 変更 | 報道資料での対象 | 福祉職について言えること |
|---|---|---|
| 教養試験を廃止してSPI3(テストセンター方式)を導入 | 経験者採用試験・選考【秋試験】の事務(一般事務・ICT) | 福祉区分は令和8年度の時点で教養試験がなく、この変更の対象には挙げられていません。福祉論文などの1次の中身を変えるという発表はありません |
| 2次を各区・組合が個別に行う | 「経験者・障害者採用選考」(区分の限定は書かれていない) | 秋試験の福祉職も、経験者採用の選考として、この変更に含まれる書き方です |
報道資料には、春試験についての記載はありません。令和9年度に春試験を行うかどうか、春試験の2次をどこが行うかは、令和9年度の試験案内などで示される予定です。
1次に合格した人は、本人の希望区などを考えて、人事委員会から区・組合に引き継がれます。ただし、採用予定や希望の集中などによって、希望どおりにならない場合があるとされています。2次選考の準備は 区ごとの2次選考 にまとめています。
出典
- 令和8年度 特別区職員経験者採用試験・選考案内【春試験】(特別区人事委員会)
- 令和8年度 特別区職員経験者採用試験・選考案内【秋試験】(特別区人事委員会)
- 経験者採用試験・選考Q&A(特別区人事委員会)
- 令和8年度 経験者採用試験・選考【春試験】実施状況
- 令和8年度 経験者採用試験・選考【秋試験】実施状況
- 令和8年度 Ⅰ類採用試験【春試験】・経験者採用試験・選考【春試験】の実施について(報道資料 2026年3月)
- 令和7年 職員の給与等に関する報告及び勧告 全文(春試験を始めた理由の記載)
- 試験問題及び正答の公表(特別区人事委員会)
- 特別区職員採用試験・選考 令和9年度から実施方法が変わります(報道資料 2026年9月9日)

